作品No.2 Kellyさんの作品
<Mad Max 4: Fury Road>
ふたつの大国のエネルギー問題摩擦を発端に第三次世界大戦が勃発し、世界中の主要な油田が壊滅したことにより全ての文明が崩壊してからはやくも30年以上が経とうとしていた。

人々の価値観は変わり、希少なエネルギーであるガソリンが全ての価値を決めるという時代がしばらく続いていた。小さいながらも点在する油田にはひとつ残らず精製所が建てられ、石油を吸い上げ続けた。
その後 それらも全て枯渇し、メタンガスが新たな価値に取って代わった。この大陸にも大きなメタン施設が
現在いくつかある。それらの施設を所有するものは必然的に絶大な権力を持つように
なり、多くの人々が集まった。

同時にそういった"富と権力"を強奪するため徒党を組んで襲撃する者も多かった。
多くは失敗し、施設のなかで全員殺されるか、奴隷として過酷な労働をあたえられる。
だが、なかには数百人で軍隊のような集団を作り、廃材などで組み立てた武器や改造車両で武装して襲撃する連中もいる。施設の規模によっては成功し、乗っ取ってしまうケースもあるようだ。

彼らの多くは戦争前に暴走や略奪行為をする集団に属していたり、戦争中は軍隊に傭兵として活動していたような連中だ。
ここ一年前位から、北のほうであたらしい高寿命・高効率のエネルギー源が発見されたらしい。
あくまで伝え聞く噂でしかないが、入手できればエネルギーの調達にかかる負担は相当減るだろうという。すでに施設を建てた者もいという話だ。多くの連中が情報を知りたがり、実際に確かめに北へ向かっている者も多い。
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●アリススプリングスと呼ばれていた地にて
マックス・ロカタンスキーもその一人だった。
かつては交通課の警官であった彼は、身内に起こったある あまりにも悲劇的な出来事を発端に複数の
殺人を犯し、指名手配を受け逃亡した。
その直後に大規模な戦争が勃発し、世界が変わってしまった。

彼は当然帰る家もなく、過去の亡霊に追い立てられるように何十年ものあいだ放浪の旅を続けていた。
かつてガソリン闘争が盛んだった頃、腕を買われてある石油精製所の連中の脱出を手伝ったことがあった。その後のメタンガスが主要なエネルギーになりはじめていた時代にはガキの部族の手助けもした。
その後も、色々な闘争に巻き込まれダメージを受けつづけた彼の体はボロボロだ。
かつて撃ち抜かれた膝はいまだにギブスがないと機能しない。
事故で潰れた片眼は開いてはいるが視力はないに等しい。

十数年前にマックスはある部落の女と暮らしていた時期があった。彼女は男児を出産して半年くらいで疫病に冒され死んだ。その直後に部落は焼き打ちされ、彼は息子とともに逃げた。

荒涼とした長い舗装路をV12エンジンを積んだメタンガス改造車(一年くらい前にある5名ほどの暴走集団を潰した時に奪った)を運転しながらマックスは助手席に二連式のショットガンを抱えて座る息子の"スプロッグ"に目をやった。17歳の彼は、改造車の爆音に包まれながら無言でまっすぐ前を見て座っている。
名前はマックス自らが直感で名づけた。なぜその名前にしたのかは彼自身もわからなかった。
過去の悲劇的な事件を頭の中から排除しようとするあまり、記憶力に重大な障害を持つようになっていたのだ。
二人は実の親子だというのに、一日に数言しか言葉を交わさない。

スプロッグは物心ついてからというもの、常に寡黙な父と一緒に行動している。コミュニケーションはおおかた眼によるものか、しぐさでとっている。しかし親子はお互いの身を守りあうためのパートナーとして非常に強力な血の絆で結ばれている。
スプロッグは父が毎晩なにかの夢でうなされているのを知っていた。父も自分からその理由を語ることもないため、彼も聞くことはない。が、なにかの原因があることだけは感じている。

メタンガスにかわる新しいエネルギーを入手するため、彼らは大陸の北にある"ダーウィン"という地をめざしている。
エネルギーのために北を目指すのは、現状のエネルギーであるメタンガスの製造者はその半数が施設を乗っ取った略奪集団であるため取引には非常な危険が伴うためだ。製造施設に取引のために入ったまま戻ってこない連中が日に何十人もいる。また、メタンよりも新エネルギーのほうが数倍も燃焼効率が良いという理由もある。

V12のメタン仕様車というのはかなり希少らしく、彼らはよく略奪者から追われる。
今日もマックスは後ろを追尾してきている集団の存在を夕暮れのなかで10分ほど前から気づいていた。
7〜8名くらいであろうか、数台のメタン仕様のバイクと車に分乗している。車のルーフには人間の死体らしき物がはりつけられている。みたところ全員武装しているようだ。
一台のバイクが激しい爆音とともに近づいてきた。手にはバールか小型斧のようなものを持っており、
顔面、腕、腹すべてにどぎつい刺青が彫り込まれている。
スプロッグがショットガン用の自作の弾をいくつか胸のポケットに入れ始めた。
マックスはタイミングを計り、V12のハンドルをバイクの方へ激しく切った。

<アクションシーンーバイオレンス>

横転、炎上した数台の車両から20メートルくらい離して停めたV12の改造車から二人は降りた。
夕暮れのオレンジ色の光のなかで車が激しく炎上している。
横転し炎上した車のなかで乗っていた者は焼かれ、動かなくなっている。
バイクに乗っていた数名もほとんどが鼻や眼から激しく流血している。
体を路面に強く打ちつけた衝撃で絶命しているようだ。

マックスとスプロッグは無言のまま、手分けして彼らの携帯品を物色しはじめた。銃や弾丸、ナイフなどの武器類や、車両のメタンガス用キャブレター、タンク等の部品類は取引の時に割と高値で売れる。
そんななか、スプロッグは彼らの所持品や防具、体に彫り込まれている特定の文字に気付いて父を呼んだ。彼は文字が読めない。
「マックス」
マックスが歩み寄り、確認した。そこには "HUMANGUSへの忠誠"に関しての2行ほどの文章が書いてあった。マックスは聞き覚えのある"HUMANGUS"という名称を記憶のなかで辿った。
かなり昔の石油精製所の脱出の際の記憶がよみがえる。
そのときの略奪集団を率いていた男の名前がこんなような名前だった。
だが、奴はあのタンクローリーとの正面衝突で即死した。
「探せ」
スプロッグに指示し、再び所持品の物色を始めた。もうすぐ日が落ちる。
マックスは作業をしながら考えた。
"あの衝突のあと、野生児を抱え、すぐに駆けつけた空の男とともに集合地点へ向かった。誰もヒューマンガス
の死体を見ていない"
二人は調達した武器類や部品を袋に詰め、V12に乗り込んだ。

<第二部へ>
大陸の荒涼とした大地が朝日に照らされはじめた頃、男は足のギブスの調整を終え、
眼前の単車を見やった。
くすんだ銀色のカウルが朝日に照らされ、鈍い光を放っている。スクリーンにはかな
り昔に張っていたデカールの文字列の跡が残っている。何十年も前のカワサキは、度
重なる転倒やトラブルに見舞われながらも その生命を主張し続けている。長年一緒
にいる少々頭がぶっとんだメカニックのおかげだ。
男は装備品を確認すると、鈍く光る鉄馬にゆっくりとまたがった。
シフトペダルを数回上下させる。始動の儀式である。
爆音をたてエンジンが始動する。
"あいかわらず下品な音だ。"男はヘルメットの下で頬を緩めた。火傷で激しくひきつ
れた頬を。
激しくホイールスピンさせ土砂を巻き上げ、アスファルトに乗り上げる。
メタンガス仕様にニトロを積んでいる。直管の爆音とともに男はアクセルを豪快に開
けた。
今日も彼の仕事が始まる。
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略奪者の一団は、北を目指していた。
車2台と単車2台で30時間ぶっ通しで爆走している。
周囲からは"狂人"とみなされているサーベージは、車の助手席で周囲の獲物を30時間
ひたすら探し続けていた。これが彼の唯一の楽しみだった。赤茶色のドレッドヘアー
を褐色の皮膚に生やし、眼はうつろだ。彼もまた全身に刺青を彫りこんでいる。
"今日の昼までに本隊と合流しないとあいつにまた締め落とされる"
彼は混沌とした精神状態のなかで、この集団のリーダーについて考えていた。
"あのジジイ、いっつも薄汚ぇホッケーマスク被ってやがる。あのマスクの下には絶
対なんかあるはずだ。いまにぜってぇに俺が仕切ってやる。"
サーベージは暴力的な略奪行為を始めると理性がなくなり暴走する癖がある。それが
理由でボスから度々締め落とされている為、恨んでいるのである。
彼ははるか前方からやってくる銀色の物体にふと気付いた。バイクである。
格好の獲物を発見したサーベージは顔を紅潮させて雄たけびをあげた。
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バイクの男は集団の車に向かって、激しく加速していった。
ぶつかる寸前で車がハンドルを切った。
(アクションシーン-バイオレンス)
バイクの男は2台の単車をショットガンを発砲し転倒させ、車も一台横転させた。
残りの一台は状況を悟り、北へ逃走した。
男は重傷の単車の二人を手錠で拘束し、横転した車に近づいた。横転のショックでド
ライバーは血を流しうめいている。
男はドライバーに歩み寄った。
「おまえらはこのあと本隊に合流する予定だったんだろ」
「それがどうした。なぜ知ってる?」
「それも俺の仕事だからだよ。ご愁傷さま。おまえらの計画は俺達が阻止するから覚
えておけ」
血まみれのドライバーはぼんやりとバイクの男の古びたプロテクター付レザージャ
ケットの左胸のワッペンをみつめた。
"Main Force Patrol - GOOSE"
グースは火傷の残る顔に笑顔を浮かべ、ドライバーを車から引きずりだした。

(第三部へ)
つづく

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